BeerDroidでWeissbier・Porter・Lagerを比較
同じ10Lでも発酵はここまで違った

同じBeerDroid、同じ10L。それでもGerman Weissbier、Ruby Porter、Thomas Coopers Artisan Reserveを続けて仕込むと、窓の見え方も温度の通り方も、熟成後の味の印象もかなり違いました。3つの個別ログを発酵挙動+テイスティングの同じ軸で並べてみます。

BeerDroid 10Lで仕込んだGerman Weissbier、Ruby Porter、Artisan Reserve Lagerの3種類の材料
同じBeerDroid 10Lで、Weissbier → Porter → Lagerを連続で仕込みました。発酵中の挙動に加え、熟成後のテイスティングメモも横並びで比較します。

先に結論:日数より「その間に何が起きたか」が面白かった

項目German WeissbierRuby PorterArtisan Reserve Lager
仕込み量10 L10 L10 L
Propagate21℃19℃22℃(最初の12時間)
主なFerment設定17℃で開始 → 途中から19℃16℃12℃
序盤の見え方Day 1〜2に細かな泡が活発約34時間でベントから吹きこぼれ約37時間で12℃帯へ。見た目は比較的穏やか
終盤Day 4〜5はかなり静かでもFerment継続Day 4 19hで穏やかに → 約5日1hでCleanupDay 4 13hで穏やかに → Day 5ごろCleanup
EOF / Ready to Keg約6日約8日8日4時間
熟成後の実飲コクが増し、バナナ香がより強い。炭酸はやや弱めコーヒー/カカオ系の苦味+チョコレートのような濃厚なコクと甘み青リンゴのような華やかさ。苦味少なめ、クリアでキレる

この比較で使った機材・消耗品

BrewArt BeerDroid
3バッチすべてで使った10L自動醸造機。Propagate、Ferment、Keg、Storeの温度管理とフェーズ進行を自動で行い、アプリから状態を確認できます。

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German Weissbier BrewPrint
Weissbier比較に使ったBeerDroid用材料セット。今回の比較では17℃でFermentを開始し、途中から19℃へ変更しました。

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Ruby Porter BrewPrint
Porter比較に使った材料セット。約34時間後のベントからの吹きこぼれと、16℃中心のFermentが今回の特徴でした。

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Thomas Coopers Artisan Reserve BrewPrint
Lager比較に使った材料セット。22℃のPropagateから12℃のFermentへ入り、終盤に15℃、17℃へ段階的に昇温しました。

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BrewArt 5L Kegs
各10Lバッチを2本の5L PETケグへ分け、二次発酵・熟成に使用しました。

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Five Star Star San Sanitizer
3バッチとも、ケグ、キャップ、スピアなどケギング周りの接液部品のサニタイズに使用した共通消耗品です。

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今回の主結論

PorterとLagerは完了までの日数だけ見るとほぼ同じでした。でも、Porterは16℃中心、Lagerは22℃→12℃→15℃→17℃と、BeerDroidが通した温度プロファイルはまったく違いました。「何日で終わったか」だけより、窓・温度・フェーズを一緒に見る方が3種類の違いがよく見えました。

※各スタイル1バッチずつの実運用比較です。酵母・レシピ・プログラムが違うため、科学的な対照実験ではありません。テイスティングも同時ブラインドではなく、熟成条件を完全に揃えた比較ではないため、味の順位ではなく各バッチで記録した印象を並べています。

同じBeerDroidでも、序盤から性格が違った

Weissbier:Day 1〜2は細かな泡が分かりやすい

比較に使うGerman Weissbierは2回目のバッチです。Propagateは21℃。Fermentは17℃で始まり、途中から19℃へ変更しました。Day 1〜2は前面窓で細かな泡が継続的に見え、3種類の中でも「発酵している」という見た目が分かりやすいバッチでした。[1]

Weissbier Day 1。細かな泡の動きがはっきり見える。
German Weissbier Day 1のBeerDroid温度グラフ
Day 1。19℃設定に対して20.0℃。冷却後に温度が戻る波形が見える。

Porter:約34時間でベントから吹きこぼれ

Ruby PorterはPropagate 19℃、Ferment 16℃。開始から約34時間で上部ベントから泡が押し出され、BeerDroidの側面まで流れました。吹きこぼれ時もアプリ上は16℃付近。BrewArtのRuby Porterページにも、最初の48時間は活発な発酵でベントからあふれる可能性があるという注意があります。[2]

Ruby PorterがBeerDroid上部ベントから吹きこぼれた様子
約34時間後。ベント周辺まで泡が盛り上がった。
Ruby Porter吹きこぼれ時のBeerDroid温度画面
吹きこぼれ時も目標16℃付近。単純な高温暴走とは見にくい状態でした。

Lager:まず「12℃帯へ下がる時間」がある

Thomas Coopers Artisan Reserveは、最初の12時間が22℃のPropagate、その後12℃のFermentへ入るラガープログラムです。[3][4] 今回は仕込み開始から実際に12℃帯へ入るまで約37時間。つまり、スタート直後からずっと12℃で進んだわけではありません。

Artisan ReserveのBeerDroid温度プロファイル、22℃から12℃へ下がり終盤に15℃と17℃へ昇温
実測スクリーンショットを時系列に並べた温度プロファイル。Lagerは「低温へ下げる工程」自体が大きな違いでした。

「泡が減った=終了」ではなかった

3バッチを続けて見ていて一番面白かったのは、窓だけを見るより、BeerDroidの温度グラフとフェーズを一緒に見た方が変化を読みやすかったことです。

BeerDroidは設定温度を保つために冷却します。その後、冷却が止まれば室温からの熱も入り、温度はまた上がります。そのため冷却後の温度上昇を、そのまま発酵熱と断定することはできません。BeerDroidアプリの温度は比重データでもなく、発酵速度を直接測っているわけでもありません。

今回の見方
①窓の泡・液中の動き ②冷却後の温度の戻り方 ③BeerDroidのFerment / Cleanup / Kegフェーズ。この3つをセットで見て、前半と後半の変化を定性的な手掛かりとして比較しています。

Weissbier:Day 1とDay 5で、窓もグラフも静かに

Day 1は細かな泡が活発で、温度グラフにも冷却後の戻りが見えました。Day 5になると窓の動きはかなり静かになり、19.0℃で目標と一致。グラフも前半よりフラットです。それでもこの時点ではまだFermentで、EOFはその後でした。

Weissbier Day 5。見た目はかなり静かでも、まだEOF前。
German Weissbier Day 5のBeerDroid温度グラフ
Day 5。19.0℃ / Target 19℃。前半より温度の動きも穏やか。

Porter:吹きこぼれ後も続き、Day 4〜5で終盤へ

約2日11時間では外への吹きこぼれは収まっていても、窓の中の細かな動きはまだ残っていました。約4日19時間では窓の動きも温度の戻り方も前半より穏やかに。その約6時間後、約5日1時間でYeast Cleanupに入り、目標温度が16℃から17℃へ上がりました。

Porter 約2日11時間。吹きこぼれ後も細かな動きが続く。
Ruby Porter約2日11時間のBeerDroid温度グラフ
同時点。冷却後の温度の戻りが比較的はっきり。
Porter 約4日19時間。窓の動きは前半より穏やか。
Ruby Porter約4日19時間のBeerDroid温度グラフ
約4日19時間。まだFermentだが、前半より落ち着いた見え方。

ここから先の昇温は、発酵が急に強くなったからではなくBeerDroid側がCleanupの設定温度を上げたためです。主発酵中の「冷却後の自然な戻り」と、Cleanup後の「プログラムによる昇温」は分けて見る必要があります。

Lager:Day 4で静かになり、Day 5ごろから段階的に昇温

約2日12時間では12℃設定で、冷却後の温度の戻りが比較的明瞭。窓にも微細な浮遊物と動きが残っていました。約4日13時間では、その戻りがDay 2〜3より穏やかになり、窓もかなり静かに。その後Day 5ごろにYeast Cleanupへ入り、目標温度は12℃から15℃、さらに17℃へ上がりました。

Lager 約2日12時間。低温帯でも微細な動きが残る。
Artisan Reserve約2日12時間のBeerDroid温度グラフ
12℃設定。冷却後の温度の戻りが比較的明瞭。
Lager 約4日13時間。窓の見た目もかなり静か。
Artisan Reserve約4日13時間のBeerDroid温度グラフ
約4日13時間。Day 2〜3より温度の戻りも穏やかに見える。

12→15→17℃の上昇はLagerの終盤プログラムそのものです。設定値が動いている区間では、上向きの温度カーブを「発酵熱が増えた」と読むことはできません。

一番意外だった数字:6日、約8日、8日4時間

Ready to Keg / EOFまでの実測は、Weissbierが約6日、Porterが約8日、Artisan Reserve Lagerが8日4時間でした。

German Weissbier約6日、Ruby Porter約8日、Artisan Reserve Lager 8日4時間のReady to KegまたはEOF比較
完了時間を3つ並べると、LagerがPorterとほぼ同じだったのが一番の意外でした。

Artisan ReserveのBrewArt公式目安は9〜20日。[3] 「LagerだからPorterよりかなり長いだろう」と考え、BeerDroidを最大3週間近く使う前提で次の仕込みまで考えていましたが、今回は8日4時間でReady to Kegでした。

Artisan Reserveの公式9から20日の目安と実測8日4時間の比較
公式目安9〜20日に対して、今回の実測は8日4時間。ケグ後の二次発酵・熟成期間は含みません。

日数は似ていても、通った温度は全然違う

German Weissbier21℃ Propagate → 17℃ Fermentで開始 → 途中から19℃。
Ruby Porter19℃ Propagate → 16℃ Ferment → Cleanup 17℃ → Keg 18℃。
Artisan Reserve Lager22℃ Propagate(12h)→ 12℃ Ferment → 15℃ → 17℃ → Keg 18℃。
今回の見方日数だけでなく、温度の道筋+窓+フェーズを重ねる。

カレンダー上ではPorterとLagerが約8日で並びました。でも、その8日間にBeerDroidが作っていた温度環境は同じではありません。今回3バッチを並べて一番面白かったのは、完了日数より、その途中でどう静かになっていったかでした。

熟成後の3種を比べると、方向性はさらに違った

3つの個別記事に熟成後のテイスティングまで揃ったので、発酵ログだけでなく、完成したグラスの印象も横に並べてみます。ここは同時ブラインドテストではなく、熟成条件も完全には揃えていません。したがって、順位付けではなく、それぞれのバッチで記録したテイスティングメモの比較です。

German Weissbier

17℃でFermentを開始し途中から19℃へ変更したGerman Weissbierの熟成後テイスティング

今回の17→19℃バッチは、前回の17℃バッチよりコクが増し、ヴァイスらしいバナナ香もより強く感じました。一方で炭酸感はやや弱めでした。

Ruby Porter

最低14日の二次発酵と熟成後に注いだRuby Porter

コーヒーやカカオを思わせる苦味と、チョコレートのような濃厚なコクと甘みが印象的でした。Weissbierとはまったく違う、濃厚な方向です。

Artisan Reserve Lager

熟成後にケグから注いだArtisan Reserve Lager

青リンゴのような華やかさがあり、苦味は少なめ。味わいはクリアで、フィニッシュはキレがあり、重さをほとんど感じず飲みやすい仕上がりでした。

項目German WeissbierRuby PorterArtisan Reserve Lager
主に感じた香味バナナ香がより強いコーヒー/カカオ系の苦味、チョコレート系の濃厚さ青リンゴのような華やかさ
コク・口当たり17℃バッチよりコクが増した濃厚なコクと甘みクリアで重さが少ない
苦味個別記事では主評価せずコーヒー/カカオを思わせるビター感少なめ
フィニッシュ/炭酸炭酸感はやや弱め個別記事では主評価せずキレがあり、すっきり
発酵の違いは、完成したグラスでも別方向に現れた

Weissbierはバナナ香とコク、Porterはロースト感を思わせる苦味と濃厚さ、Lagerは青リンゴのような華やかさとクリアなキレ。発酵中の挙動だけでなく、熟成後の印象も3種類でかなり違いました。ただし、この比較だけから温度プロファイルと味の因果関係を切り分けることはできません。

この比較で言えること/言えないこと

今回の3バッチは、同じBeerDroid・同じ10Lという共通点はありますが、科学的な対照実験ではありません。

今回言えること

序盤の見え方は3種類でかなり違った。後半は窓の動きと冷却後の温度の戻りが穏やかになる方向が見えた。PorterとLagerは完了日数が近かったが、温度プロファイルは大きく違った。

言えないこと

「Weissbierなら必ず6日」「Lagerでも必ず8日」とは一般化できません。レシピ・酵母・プログラムが違い、Weissbierは途中で設定温度も変更しています。

次に足したいもの

比重ログです。RAPT PillなどでSGを同時に取れば、窓・温度・比重を同じ時間軸に重ねられます。

3バッチの個別記録

German Weissbier

17℃でFermentを開始し途中から19℃へ。1〜5日目の窓・温度、約6日のEOF、ケギング、熟成後の17℃バッチとの実飲比較まで記録。

German Weissbierの記事 →

Ruby Porter

16℃Ferment、約34時間での吹きこぼれ、Day 2〜4の窓・温度、約5日1時間のCleanup、約8日のEOF、熟成後の実飲まで記録。

Ruby Porterの記事 →

Artisan Reserve Lager

22℃Propagateから12℃Ferment、約37時間で12℃帯、Day 5ごろのCleanup、15→17℃の昇温、8日4時間のReady to Keg、熟成後の青リンゴ系でクリアな実飲まで記録。

Artisan Reserveの記事 →

まとめ:同じ8日前後でも、中身は全然違った

同じBeerDroidで、同じ10Lを3回。結果だけならWeissbier約6日、Porter約8日、Lager 8日4時間で、Lagerが思ったほど長くなかったことが一番分かりやすい数字でした。

でも、毎日追って一番面白かったのは途中の挙動です。Weissbierは細かな泡が分かりやすく、Porterは吹きこぼれるほど活発。Lagerは低温へ下げる工程そのものがあり、終盤は12→15→17℃と段階的に昇温しました。

そして今回の3バッチでは、終盤に向かうほど窓の動きと冷却後の温度の戻りが穏やかになる方向が見えました。窓だけ、温度だけ、日数だけではなく、BeerDroidのフェーズまで重ねると、発酵の流れがかなり見やすくなります。

そして熟成後のグラスも、Weissbierはバナナ香とコク、Porterはコーヒー/カカオ系の苦味とチョコレートのような濃厚さ、Lagerは青リンゴのような華やかさとクリアなキレへと、まったく違う方向に仕上がりました。発酵中の記録と完成後の味を両方残しておくと、同じBeerDroidでもレシピごとの違いがさらに立体的に見えてきます。

Research. Brew. Watch. Compare. Learn.

参考文献

  1. BrewArt, German Weissbier. BrewPrint製品情報。BrewArt
  2. BrewArt, Ruby Porter. 製品仕様、発酵期間、最初の48時間の吹きこぼれ注意。BrewArt
  3. BrewArt, Thomas Coopers Artisan Reserve. ラガープログラム、9〜20日の目安など。BrewArt
  4. BrewArt, BeerDroid Instruction Manual. LagerのPropagate 22℃、Ferment 12℃、Keg 18℃など。PDF

※日数・温度・窓の見え方は今回の実測記録です。BeerDroidの温度グラフは比重計ではなく、発酵速度を直接測るものではありません。

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BeerDroidの発酵挙動、温度グラフ、Weissbier・Porter・Lagerの比較など、気になる点があればお気軽にどうぞ。

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Xでは、この3バッチ比較を先に投稿しました

Webでは3つの個別ログを横断して、窓・温度・フェーズ・完了時間を整理しました。Xには比較を作っていく過程も残しています。

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