BeerDroidでThomas Coopers Artisan Reserveを仕込んでみた

「Lagerは時間がかかる」と思い、BeerDroidを最大3週間近く占有する前提で生産計画を組みました。ところがThomas Coopers Artisan Reserveは、12℃での低温発酵、Yeast Cleanup、段階的な昇温を経て、仕込みから8日4時間でReady to Keg。公式の目安9〜20日よりも早い結果でした。今回は、仕込みから2本の5Lケグへの移送、ケグ詰め直後の若い味見、そして後日の熟成後テイスティングまでを、温度ログと写真・動画で追います。

Thomas Coopers Artisan ReserveのBrewPrint、8日4時間でReady to KegになったBeerDroid、ケグ詰め後にBeerDroidへ残った明るいゴールドのビール
Thomas Coopers Artisan Reserve。長期戦を想定したLagerが、8日4時間でReady to Kegになった。

今回の記録

バッチThomas Coopers Artisan Reserve
醸造機BrewArt BeerDroid
仕込み量10L
公式の醸造目安9〜20日(ケグ後の二次発酵・熟成は別)[1]
ラガープログラムPropagate 22℃ → Ferment 12℃ → Keg 18℃ → Store 4℃[2]
Yeast Cleanup約5日で通知。目標12℃から15℃へ、その後17℃まで段階的に上昇
Ready to Keg8日4時間
途中経過Day 1〜7の温度チェックポイント、冷却後の温度の戻り方、BeerDroid窓動画を時系列で記録
ケギングH4を各ケグへ → ビール移送 → プライマー
ケグ詰め直後BeerDroidへ残った分をタップから確認。明るいゴールドで、軽い柑橘・フルーティー。下の方に残った分なので残留物はやや多め。
熟成後テイスティング青リンゴのような華やかさ。苦味は少なく、クリアでキレのある味。思わずごくごく飲めてしまう軽快さ。

9〜20日のはずなので、3週間近く空けていた

今回選んだThomas Coopers Artisan Reserveは、BrewArt公式ではラガープログラム、醸造時間の目安9〜20日。仕上がりはABV 5.5%、Colour 11、Bitterness 18で、明るいゴールド、ライムやオレンジピールを思わせる香り、バランスのよいモルト感とクリスプなフィニッシュのPilsner系として説明されています。[1]

直前に仕込んだWeissbierやPorterより明らかに長くなると思い、運用上は余裕を見て約3週間の枠を確保。ところが、実際にReady to Kegになったのは8日4時間でした。

Thomas Coopers Artisan Reserveの公式醸造目安9から20日と今回の8日4時間を比較したグラフ
公式の目安は9〜20日。今回は8日4時間でReady to Keg。※ケグ後の二次発酵・熟成期間は含まない。
BeerDroid 1台と5Lケグ3本を前提に、ヴァイス・ポーター・ラガーの仕込み順を3パターンで比較した生産計画ガントチャート
当初の生産計画。Lagerが長引く前提で約3週間の枠を見込み、前後のバッチと重ならないように考えていました。

この記事で使った機材・消耗品

BrewArt BeerDroid
10Lの仕込みに対応し、Propagate、Ferment、Keg、Storeの各ゾーンを自動で温度管理する醸造機です。

BrewArt BeerDroidを公式サイトで見る →

Thomas Coopers Artisan Reserve BrewPrint
今回使用したBrewPrint。E1×3、X1×2、H4×2、Y7、プライマー×2、Droid Cleanseを含みます。[1]

Thomas Coopers Artisan Reserveを公式サイトで見る →

BrewArt 5L Kegs
10Lのバッチを2本の5L PETケグへ分けて二次発酵・熟成させます。[5]

BrewArt 5L Kegsを公式サイトで見る →

Five Star Star San Sanitizer
5Lケグ、キャップ、スピアなど、ケギング時にビールへ触れる部品のサニタイズに使用しました。BeerDroid本体はBrewPrint付属のDroid Cleanseで消毒しています。

Star SanをAmazonで見る →

まずはPorterの後片付けから

Artisan Reserveの前はRuby Porter。ケグへ移した直後のBeerDroidは、蓋や内壁に発酵残渣が付着してかなりベタベタしていました。次のバッチを始める前に、BeerDroidと取り外せる部品を洗浄し、Droid Cleanseで消毒します。

Ruby Porterのケグ詰め後に発酵残渣が付着したBeerDroidの蓋
前バッチのPorter後。まずはここから洗浄。
洗浄してきれいになったBeerDroid内部
洗浄後。消毒して次の仕込みへ。

Artisan Reserve BrewPrintの中身

公式の構成は、E1×3、X1×2、H4×2、Y7×1、プライマー×2、Droid Cleanse×1。[1] E1は淡い色と穀物系モルト、X1は色を大きく増やさず甘い穀物系モルト感とボディを補う材料です。H4はハーバル/スパイシーな方向でPilsnerらしいキャラクターを支え、Y7はクリーンな香味でクリアに仕上がる酵母として案内されています。[3][4]

Thomas Coopers Artisan Reserve BrewPrintの箱
Thomas Coopers Artisan Reserve。
Artisan Reserve BrewPrintのE1、X1、H4、Y7などの材料一式
BrewPrintの材料一式。H4とプライマーはケギング時に使用。

材料を入れてラガープログラムをスタート

洗浄・消毒したBeerDroidへ水を入れ、Y7イーストから材料を投入。続けてE1とX1の粉原料を入れ、フタを閉めてラガープログラムを開始しました。

まずY7イーストを投入。
アプリでラガープログラムを開始。設定画面ではPropagate 22℃、Ferment 12℃、Kegging 18℃、Storage 4℃を確認できる。
Artisan Reserveを開始した直後のBrewArtアプリ。Propagate、22度ターゲットを表示
開始直後はPropagate。ラガープログラムではまず22℃が目標。

BeerDroidの標準ラガープログラムでは、最初の12時間はPropagateで22℃、その後Fermentへ切り替わって12℃が目標になります。つまり、仕込み直後からすぐ12℃を狙うのではなく、まず22℃のPropagateを挟んでからFermentの12℃へ向けて下がっていきます。Kegは18℃、Storeは4℃です。[2]

12℃設定でも、仕込み直後から12℃になるわけではない

今回はアプリ表示を定期的に撮影していたので、仕込み直後からの温度変化を追えました。開始直後はPropagateで22℃帯、その3時間後は23℃、12時間後でも18.3℃でした。そこからFermentへ切り替わってから徐々に下がり、約1日13時間後には11.9℃まで到達しました。

つまり「12℃で発酵」といっても、室温付近から始めたバッチが一瞬で12℃になるわけではありません。今回の条件では、約37時間で12℃帯に到達しました。

仕込みから約1日13時間後、11.9度で目標12度に到達したBrewArtアプリ
約1日13時間後。11.9℃で目標12℃帯へ。

実測ログで見る温度プロファイル

下のグラフは、連続センサーの生データではなく、私が撮影した各時点のBrewArtアプリ表示をチェックポイントとして並べたものです。実温度は線で結ばず点だけで示し、目標温度はラガープログラムの段階に合わせて表示しました。連続ログではありませんが、BeerDroidがどの温度帯を狙って工程を進めたかは分かります。

Artisan Reserveの仕込み開始からReady to Kegまでの実測温度と目標温度の推移
実温度は各スクリーンショット時点の点で表示。最初の12時間はPropagate 22℃で、その後約37時間で12℃帯へ入り、Day 5以降は段階的に昇温した。

12℃帯へ入った後は、Day 4まで撮影時点の実測が11.5〜12.7℃でした。BeerDroidは設定温度の±1℃程度で制御される前提で見ると、12℃設定に対してほぼ制御範囲内です。室温が25〜27℃前後でも、12℃帯を維持していました。

Day 1〜4:温度グラフと窓動画をセットで読む

温度の数字だけでなく、BeerDroid前面の窓も同じように撮っていました。後でWeissbierやPorterと同じ軸で比べられるよう、ここでは経過時間・フェーズ・実温度・目標温度・8時間グラフ・窓の動画をセットで見ます。

温度グラフは「発酵の勢い」の補助指標として見る

発酵は熱を出します。そこで、BeerDroidが一度冷却したあとに温度がどれくらい早く戻るかも観察しました。同じ10Lバッチ、同じ機械、室温もおおむね25〜27℃という条件なら、冷却後の戻りが比較的速い区間は、発酵熱の寄与がまだ大きい可能性があります。逆に、戻りが緩くなり、窓の見た目も静かになってくれば、発酵終盤へ移っている可能性があります。

ただし、これは比重計のような直接測定ではありません。室温から入る熱、BeerDroidの冷却タイミング、グラフの時間・温度分解能でも形は変わります。特にYeast Cleanup以降の12→15→17℃はプログラムが意図的に目標温度を上げているため、その上昇を「発酵が強くなった」とは解釈しません。今回も、グラフの形と窓動画を合わせた定性的な観察として扱います。

比較用チェックポイント

3時間Propagate|23℃ / Target 22℃
12時間Fermentへ移行|18.3℃ / Target 12℃
1日4時間Ferment|13.0℃ / Target 12℃(まだ降温中)
1日13時間Ferment|11.9℃ / Target 12℃(12℃帯へ到達)
2日12時間Ferment|12.6℃ / Target 12℃(冷却後の戻りが明瞭)
3日13時間Ferment|12.4℃ / Target 12℃(戻りのサイクル継続)
4日13時間Ferment|11.5℃ / Target 12℃(戻りがやや穏やか)
5日5時間Yeast Cleanup|15℃帯へ(プログラムによる昇温)
6日12時間Ferment|17.9℃ / Target 17℃(終盤の昇温区間)
7日12時間Ferment|16.5℃ / Target 17℃(EOF前の静かな区間)
8日4時間Keg|BeerDroid 18℃、Ready to Keg

1日4時間:13℃まで下がったところ

Fermentへ移ってから約28時間。アプリでは13℃、Target 12℃。この時点はまだ12℃へ向けて大きく冷やしている途中なので、グラフの傾きから発酵の強さを読む段階ではありません。まずは冷却制御が主役の区間です。

窓からは液がまだしっかり濁っていて、細かな浮遊物も見えます。大きな泡立ちを数えるような動画ではありませんが、後の時点と比べる基準として、この頃から同じ窓を残しました。

Artisan Reserve仕込み1日4時間後、13度で目標12度のBrewArtアプリ
1日4時間。13.0℃ / Target 12℃。まだ12℃へ向けて降温中。
液はまだ濁り、細かな浮遊物が見える。後半との比較基準にする動画。

2日12時間:冷却後の温度が比較的早く戻る

仕込みから60時間。実温度12.6℃、Target 12℃で、主発酵の低温帯に入っています。8時間グラフを見ると、BeerDroidが冷却して温度が一度下がったあと、再び12℃台へ向かってはっきり戻るサイクルが見えます。

室温は26℃前後なので外から入る熱もありますが、この時期は窓でも細かな浮遊物や動きが続いています。グラフと動画を合わせると、まだ発酵熱の寄与が大きい、比較的活発な区間だった可能性が高そうです。

Artisan Reserve仕込み2日12時間後、12.6度で目標12度のBrewArtアプリ
2日12時間。冷却後に温度が再び戻る動きが明瞭。
細かな浮遊物と液中の動きが残る。主発酵中らしい見え方。

3日13時間:発酵は続くが、ピーク後か

85時間後もFermentのまま、12.4℃ / Target 12℃。この8時間グラフでも、冷却後に温度がじわじわ戻る挙動は続いています。つまり発酵が終わったような完全な横ばいではありません。

一方、窓にはまだ微細な粒が見えるものの、大きな泡立ちや強い撹拌は目立ちません。Day 2と同じく発酵中ではあるものの、最も激しい段階は通過しつつあると見るのが自然でした。

Artisan Reserve仕込み3日13時間後、12.4度で目標12度のBrewArtアプリ
3日13時間。冷却後の戻りはまだ続いている。
微細な浮遊物は残るが、大きな泡立ちは見えない。

4日13時間:温度の戻りも、窓の動きも穏やかに

4日13時間では11.5℃ / Target 12℃。冷却後に温度が戻る挙動自体は残っていますが、Day 2〜3と比べるとグラフの立ち上がりはやや緩やかに見えます。窓の動画も、大きな動きはかなり少ない状態です。

この数時間後にYeast Cleanupの通知が来たため、結果を知ったうえで振り返ると、温度グラフと見た目の両方が「主発酵の終盤」に入っていたことと整合します。ただし、EOFを予測できるほどの定量指標ではありません。

Artisan Reserve仕込み4日13時間後、11.5度で目標12度のBrewArtアプリ
4日13時間。冷却後の戻りはあるが、立ち上がりはやや穏やか。
窓の見た目もかなり静か。数時間後にYeast Cleanupへ。

Day 5:Yeast Cleanupで12℃→15℃へ

仕込みから約5日で、BrewArtアプリから「温度を上げ、酵母に残りの仕事をさせてクリーンに仕上げる」というYeast Cleanup通知が届きました。最大3週間近くを想定していたので、このタイミングで終盤工程に入ったのはかなり意外でした。

ここからの温度上昇は、発酵熱が強くなったのではなくBeerDroidが目標温度を12℃から15℃へ変更したためです。比較記事でも、主発酵中の「冷却後の自然な戻り」と、Cleanup以降の「設定変更による昇温」は分けて扱います。

Artisan ReserveのYeast Cleanupを知らせるBrewArt通知
Day 5のYeast Cleanup通知。
Yeast Cleanupで目標温度が15度になったBrewArtアプリ
12℃から15℃へ。14.2℃まで上がっている途中。
同日、15℃帯へ上がったあとの窓。大きな泡立ちはなく、微細な動きが残る終盤の見え方。

Day 6〜7:さらに17℃へ

15℃へ上がった後も温度プロファイルは終わりではなく、翌日には目標が17℃へ。6日5時間後は16.0℃/Target 17℃、6日12時間後には17.9℃まで上がり、その後も17℃付近で推移しました。

今回のログだけを見ると、発酵後半は12℃ → 15℃ → 17℃と段階的に昇温。ずっと12℃で進むと思っていた自分のイメージとは違い、BeerDroidが終盤に温度を上げながら仕上げていく様子がはっきり見えました。

この区間では設定温度そのものが動いているため、グラフの上昇速度から発酵の強弱を比べることはできません。むしろ注目したのは、昇温後も窓の動きが大きくならず、終盤らしい落ち着いた見え方が続いたことです。

Artisan Reserveの発酵6日目、目標17度へ上がったBrewArtアプリ
Day 6。目標は17℃へ。

6日12時間:17℃帯へ到達

6日12時間では17.9℃ / Target 17℃。8時間グラフは緩やかな上昇ですが、ここは17℃へ上げたプログラムの影響があるため「発酵熱が強い」とは読みません。窓では微細な浮遊物は残るものの、主発酵前半のような強い動きは目立ちません。

Artisan Reserve仕込み6日12時間後、17.9度で目標17度のBrewArtアプリ
6日12時間。17.9℃ / Target 17℃。
6日12時間。微細な浮遊物は残るが、見た目はかなり落ち着いている。

7日12時間:まだFerment、Ready to Keg直前

7日12時間でもZone 2のFerment。16.5℃ / Target 17℃で、まだKegには移っていません。8時間グラフでは冷却後の戻りが小さく、ほぼ横ばいに近い区間も見えます。窓の動画も大きな動きは少なく、Day 2〜3より静かな印象です。

ここから約16時間後にReady to Kegになったため、結果としては「温度の戻りが穏やか+窓も静か」という終盤らしい挙動の直後にEOFが来た形でした。比較記事では、このパターンがWeissbierやPorterでも見えるかを同じ方法で比べたいと思います。

Artisan Reserve仕込み7日12時間後、16.5度で目標17度のBrewArtアプリ
7日12時間。まだFerment。
Ready to Keg前日の窓。大きな動きは少なく、かなり静かな状態。

Day 8:8日4時間でReady to Keg

7日12時間の時点ではまだFermentでしたが、その後BrewArtから発酵完了とReady to Kegの通知が到着。BeerDroid本体には「BREWING COMPLETE / READY TO KEG」、経過時間は8 DAYS 4 HOURSと表示されました。

公式の目安9〜20日より早く、直近の自分のBeerDroidではWeissbierが6日、Ruby Porterが約8日、このLagerもほぼ同程度。少なくとも今回のArtisan Reserveは、「LagerだからPorterより何倍も長い」という結果にはなりませんでした。

Artisan Reserveの発酵終了とReady to Kegを知らせるBrewArt通知
発酵終了とReady to Kegの通知。
8日4時間、18度、BREWING COMPLETE READY TO KEGを表示するBeerDroid
8日4時間。18℃でReady to Keg。

H4 → ビール移送 → プライマーで2本のケグへ

ケギング前に、2本の5Lケグ、ライナー、キャップ、スピアなどをStar Sanでサニタイズ。今回のBrewPrintにはH4が2袋入っているので、各ケグへ1袋ずつ入れてからビールを移しました。H4はBrewArtではハーバル/スパイシーなPilsner向けホップとして説明されています。[3]

Artisan Reserveのケギング前に消毒しているケグキャップやスピア部品
2本分のケグ部品をStar Sanでサニタイズ。
BrewArt 5LケグへH4を投入する様子
各ケグへH4を1袋ずつ。
BeerDroidから5Lケグへ移送。

ビールを移し終えたら、各ケグへプライマーを投入して密閉。BrewArtの案内では、ケグ後の二次発酵は最低14日が目安です。[1]

Artisan Reserveを移送したケグへBrewArtプライマーを投入する様子
移送後にプライマーを投入。
Artisan Reserveを詰め終えた2本のBrewArt 5Lケグ
10Lを2本の5Lケグへ。ここから熟成。

ケグ詰め後に少し味見:BeerDroidに残った分をタップから確認

2本の5Lケグへ移送したあと、BeerDroidの下の方に残った分をタップから少量出して確認しました。ケグへ移したあとの残りなので、酵母や細かな残留物はやや多めに見えますが、色はかなり明るいゴールドです。味はまだ若いものの、軽い柑橘・フルーティーな印象がありました。

BrewArt公式の説明には、明るいゴールド、freshly cut lime and orange peel、crisp finishという表現があります。[1] 今回タップから出した少量の確認でも方向性は少し感じましたが、ここからケグ内で二次発酵・熟成するため、この時点では「完成した味」とは評価しません。

ケグ詰め後にBeerDroidへ残ったThomas Coopers Artisan Reserveをタップから出した様子。明るいゴールドで残留物がやや多い
ケグ詰め後にBeerDroidへ残った分をタップから確認。明るいゴールドだが、下の方に残った分なので残留物はやや多め。

熟成後テイスティング:青リンゴのような華やかさ、クリアでキレる

後日、ケグからあらためて飲んでみると、ケグ詰め直後の若い状態から印象がかなり整理されていました。まず感じたのは青リンゴのような華やかさ。苦味は少なく、味わいはクリア。後味にはキレがあり、重さをほとんど感じず、思わずごくごく飲めてしまうLagerになりました。

見た目も、ケグ詰め直後にBeerDroidの底から取った若いサンプルとはかなり違います。熟成後はゴールド〜アンバー寄りの色で、浮遊物は目立ちにくくなりました。BrewFloから注ぐと細かな泡が立ち、グラス上部に白い泡の層ができます。

熟成後のThomas Coopers Artisan Reserve Lager。ゴールドからアンバー寄りの色で、グラス上部に白い泡が残る
熟成後の一杯。ケグ詰め直後の底部サンプルより浮遊物が目立ちにくく、色も落ち着いた。
BrewFloから注ぐ様子。注ぎながら細かな泡が立ち、白いヘッドができる。
熟成後のテイスティングメモ
  • 香味:青リンゴのような華やかさ
  • 苦味:少なめ
  • 味わい:クリア
  • フィニッシュ:キレがあり、すっきり
  • 飲みやすさ:思わずごくごくいけてしまう

BrewArt公式は、このBrewPrintをライムやオレンジピールを思わせる香りとクリスプなフィニッシュで説明しています。[1] 自分の実飲では柑橘より青リンゴのような華やかさを強く感じましたが、クリアでキレのある方向性は公式の説明とも重なる印象でした。

ケグ詰め後のBeerDroidを開けてみる

移送後に中を見ると、液面があった位置や冷却部周辺に発酵残渣が残っていました。Porterほどのベタベタ感ではありませんが、発酵中の跡はしっかり確認できます。次のバッチへ向けて、その日のうちに洗浄しました。

Artisan Reserveのケグ詰め後に発酵残渣が残ったBeerDroid内部
移送後の内部。発酵残渣がリング状に残る。
ケグ詰め後に洗浄したBeerDroid内部
洗浄後。また次の仕込みに使える状態へ。
Artisan Reserveの2本のケグがShelfへ登録されたことを知らせるBrewArt通知
2本のケグがShelfへ。飲み頃になったらアプリから通知される。

今回記録して分かったこと

  • 公式の醸造時間目安は9〜20日だが、今回は8日4時間でReady to Kegになった。
  • ラガープログラムは最初の12時間が22℃のPropagateで、その後12℃のFermentへ移る。[2]
  • 今回の条件では、仕込みから約37時間で12℃帯へ到達した。
  • Day 2〜3は冷却後の温度の戻りが明瞭で、窓にも微細な動きが残った。Day 4〜7は戻りと見た目が次第に穏やかになり、終盤へ移る様子と整合した。
  • Day 5にYeast Cleanup通知が来て12℃から15℃へ、その後17℃へ段階的に昇温した。この設定変更後の温度上昇は、発酵の勢いとは分けて考える必要がある。
  • ケグ詰め直後の若いサンプルは明るいゴールドで軽い柑橘・フルーティーな印象。後日の熟成後テイスティングでは、青リンゴのような華やかさ、少ない苦味、クリアでキレのある味わいへとまとまった。
  • H4を各ケグへ入れ、ビール移送後にプライマーを投入して2本の5Lケグへ分けた。
  • Weissbier 6日、Porter約8日、今回のLager約8日と、少なくとも今回のBeerDroidではLagerだけ極端に長期化しなかった。

まとめ

「Lagerは長期戦」と思って3週間近く枠を取ったThomas Coopers Artisan Reserveでしたが、結果は8日4時間でReady to Keg。公式の9〜20日という目安よりも早く、Porterとほぼ同じくらいの期間でBeerDroidを空けられました。

一方で、短かったから単純にPorterなどのエールプログラムと同じだったわけではありません。最初の12時間はPropagateで22℃、その後Fermentの12℃帯まで下がり、数日間その付近を維持し、終盤は15℃、17℃へ段階的に上げてから18℃のKegゾーンへ入りました。温度ログを追うと、ラガープログラムらしい低温工程と終盤の昇温がはっきり見えました。

ケグ詰め直後は、BeerDroidへ残った若いサンプルに軽い柑橘・フルーティーさを感じました。その後ケグからあらためて飲むと、青リンゴのような華やかさが前に出て、苦味は少なく、クリアでキレのある仕上がりに。長期戦を覚悟したLagerでしたが、発酵だけでなく、最終的な飲みやすさまで予想以上に軽快な1杯になりました。

参考文献

  1. BrewArt, Thomas Coopers Artisan Reserve(BrewPrint構成、ABV、色、苦味、ラガープログラム、9〜20日の目安、最低14日の二次発酵、製品説明)
  2. BrewArt, BeerDroid Instruction Manual(LagerのPropagate 22℃、Ferment 12℃、Keg 18℃、Store 4℃、各ゾーンの説明)
  3. BrewArt, Hops 4(ハーバル/スパイシーなPilsner向けホップの説明)
  4. BrewArt, Brewing Ingredients(Yeast 7のクリーンな香味とクリアな仕上がりの説明)
  5. BrewArt, Keg Refill Pack V1(5L PETケグとケグキャップ/スピア)

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