BeerDroidでDiscovery Pale Aleを仕込んでみた

German Weissbier、Ruby Porter、Artisan Reserve Lagerに続くBeerDroid 4スタイル目は、BrewArtのDiscovery Pale Ale。今回は7日1時間でEOF(Ready to Keg)。H2投入前にはりんごのような香りと少し華やかな苦味を感じました。その後H2×2を加えて2本の5 Lケグへ移し、約17日熟成後に再テイスティング。ほのかな柑橘〜青りんごのような香り、しっかりした苦味、スッキリした後味へどう変わったかまで追記しました。

Discovery Pale AleのBrewPrint、BeerDroid本体、ケグ詰め後の2本の5Lケグ
Discovery Pale Ale。仕込みから7日1時間でReady to Kegとなり、H2を加えて2本の5Lケグへ。

今回の結果

バッチBrewArt Discovery Pale Ale
醸造機BrewArt BeerDroid
仕込み量10 L(約2.6 gal)
公式の目安ABV 5.5% / Colour 16 / Bitterness 33 / Ale program / 約7〜10日。ケグ後の二次発酵・熟成は最低14日[1]
標準AleプログラムPropagate 21℃(70°F)→ Ferment 17℃(63°F)→ Keg 18℃(64°F)→ Store 4℃(39°F)[4]
実測EOF7日1時間で「BREWING COMPLETE / READY TO KEG」
EOF直後の味見H2投入前。りんごのような香り+少し華やかな苦味。熟成前の途中評価。
ケギングH2×2を2本の5Lケグへ分けて投入し、BeerDroidから移送。
熟成後の実飲ケグ詰めから約17日後。ほのかな柑橘〜青りんごのような香り、しっかりした苦味、スッキリした後味。ごくごく飲める印象。

公式の完成像はpine & citrus。まずはそこを基準にする

BrewArt公式はDiscovery Pale Aleを、ホップ主体のAmerican Pale Aleとして説明しています。ABV 5.5%、Colour 16、Bitterness 33、醸造目安7〜10日。完成時の方向性はpineとcitrusの香り、最初のcitrus、toffeeのニュアンス、crispな苦味です。[1]

今回は「完成したらそれっぽかった」で終わらせず、EOF直後・H2を入れる前にも味見し、ケグ熟成後に同じ観点で再テイスティングしました。BrewArtのマニュアルでも、ケギング前に100 mL(約3.4 oz)以下をタップから取り、香りと味を確認する手順が案内されています。[4]

今回使った機材・材料・消耗品

BrewArt BeerDroid
10 L(2.6 gal)の自動醸造機。EOF検出、温度管理、アプリ通知を使って今回の発酵を追いました。[5]

BeerDroidをBrewArt公式で見る →

Discovery Pale Ale BrewPrint
今回のBrewPrint。手元の内容物はE2×1、E5×2、X1×1、X2×1、Y1×1、H2×2、Primer×2、Droid Cleanse×1。

Discovery Pale AleをBrewArt USで見る →

Hops 2 (H2) / Yeast 1 (Y1)
H2はBrewArt公式でresinous、bold citrus/floral、assertive bitter finish。Y1はsubtle esterを出し、ホップキャラクターを引き立てるAmerican Ale系酵母として説明されています。[2][3]

Five Star Star San Sanitizer
5 Lケグ、キャップ、スピア、移送周りなど、ケギング時にビールへ触れる部品のサニタイズに使用しました。

Star SanをAmazonで見る →

BrewPrintの中身を確認して仕込み開始

箱を開けて内容物を並べると、今回の構成はE2×1、E5×2、X1×1、X2×1、Y1×1、H2×2、Primer×2、Droid Cleanse×1。発酵前に入れる材料と、EOF後にケグへ入れるH2・Primerが分かれています。

BrewArt Discovery Pale Ale BrewPrintの箱
今回のDiscovery Pale Ale BrewPrint。
Discovery Pale Ale BrewPrintのE2、E5、X1、X2、Y1、H2、Primer、Droid Cleanse
手元のBrewPrint一式。H2は2袋で、ケグ詰め時に使う。

材料を入れた直後は、水面が乾燥原料で白く覆われた状態になります。ここからBeerDroidにAleプログラムを任せます。

Discovery Pale Aleの材料投入直後、BeerDroidの水面を乾燥原料が覆っている様子
投入直後。ここでは混ぜず、そのまま蓋をしてスタート。
Discovery Pale Aleの仕込みを開始したBrewArt BeerDroid
BeerDroidで4スタイル目の仕込み開始。

温度ログ:12時間でFermentへ、その後は17℃付近を中心に推移

BeerDroidの標準Aleプログラムは、最初の12時間をPropagateとして21℃へ向け、その後Fermentの目標17℃へ移行します。[4] 今回も12時間の時点でアプリはすでにFermentを示し、液温21.1℃、Target 17℃。約21時間では18.1℃まで下がりました。

以下はアプリを開いたときの代表的なスナップショットです。連続ロガーの平均値ではなく、各時点の「Now」表示を記録したものです。

経過NowTargetAmbient
12時間21.1℃17℃25.1℃
21時間18.1℃17℃25.4℃
1日16.9℃17℃26.7℃
2日17.4〜17.5℃17℃24.9〜25.0℃
3日15.8〜15.9℃17℃約27℃
4日16.2〜16.3℃17℃25.2〜26.6℃
5日16.7℃17℃24.9〜26.3℃
6日16.2〜16.7℃17℃26.1〜26.5℃
7日・Keg17.4℃18℃24.8℃
Discovery Pale Ale仕込み12時間、FermentゾーンでNow 21.1℃、Target 17℃のBrewArtアプリ画面
12時間。Fermentへ移行済みで、21.1℃から17℃へ降温中。
Discovery Pale Ale仕込み3日、Now 15.8℃、Target 17℃のBrewArtアプリ画面
3日目の一時点では15.8℃。単発のスナップショットとして記録。
Discovery Pale Ale仕込み6日、Now 16.2℃、Target 17℃のBrewArtアプリ画面
6日目。16℃台で終盤へ。

室温表示が25〜27℃前後でも、発酵液は主に16〜17℃台へ維持されました。3日目には15℃台のスナップショットもありましたが、これだけで発酵状態を断定するのではなく、BeerDroidの制御中の瞬間値として扱います。

7日1時間でEOF。公式7〜10日のちょうど下限側

7日目、BeerDroidはFermentからKegへ移り、実機表示は7日1時間で「BREWING COMPLETE / READY TO KEG」。アプリ側も「1 Week」、Zone 3 Kegへ移行しました。BrewArt公式の7〜10日という目安に対して、今回はほぼ下限で完了したことになります。[1]

Discovery Pale Aleが1 WeekでKegゾーンへ入ったBrewArtアプリ画面
アプリでは1 Week、Zone 3 Keg。目標は18℃へ。
BeerDroid画面に7日1時間、BREWING COMPLETE、READY TO KEGと表示された様子
実機では7日1時間。「READY TO KEG」を確認。

H2を入れる前に味見:りんご香と少し華やかな苦味

EOF直後の途中評価

りんごのような香り。苦味には少し華やかな印象。まだH2を入れる前で、熟成もしていない段階。

ここが今回いちばん興味深かったところです。BrewArt公式の完成像はpine & citrus、toffee、crisp bitterness。[1] ところがH2投入前のEOF直後では、私にはまず「りんご」のような香りが立って感じられました。

ただし、この時点で「公式説明と違う」と結論づけるのは早いです。H2は公式にresinous、bold citrus/floral、assertive bitter finishと説明されており、今回のBrewPrintには2袋入っています。[2] つまりpine/citrusや華やかなホップ感の一部は、ここからケグ内で加わる要素です。

またY1は、BrewArtがsubtle esterを出す可能性のあるAmerican Ale系酵母として説明しています。[3] りんご系の印象に発酵由来のエステルが関係している可能性はありますが、この1回の味見だけで原因をY1に特定することはできません。今回は「EOF時点でそう感じた」という観察値として残します。

H2を2ケグへ入れて、熟成フェーズへ

EOF確認後は、ケグと接液パーツをStar Sanでサニタイズ。2袋のH2を2本の5Lケグへ分けて投入し、BeerDroidからビールを移送しました。マニュアルではPrimerやHopsをケグへ入れてから充填し、二次発酵・コンディショニングは18〜25℃(65〜77°F)で最低14日と案内されています。[4]

Discovery Pale Aleの5LケグへBrewArt H2を投入している様子
H2をケグへ投入。ここから香りと苦味がどう変わるかを見る。
BeerDroidからライナーへ移送。
Discovery Pale Aleを入れた2本の5LケグとBeerDroid
10 Lを2本の5Lケグへ。
Discovery Pale Aleのケグ詰め後、発酵残渣が残るBeerDroid内部
移送後のBeerDroid内部。発酵の跡がリング状に残っている。

約17日熟成後:柑橘〜青りんご、苦味はしっかり

ケグ詰めから約17日後、H2と二次発酵・熟成を経た状態を同じ観点で再テイスティングしました。香りはほのかな柑橘〜青りんごのような方向。苦味はEOF直後よりもしっかり感じますが、後味は重くなくスッキリ。私の感覚では、苦味はきちんとあるのに重たさが残らず、ごくごくいけるタイプにまとまりました。

熟成前 → 熟成後 → 公式イメージ

タイミング香り苦味・後味
EOF直後 / H2前りんごのような香り少し華やかな苦味
約17日熟成後ほのかな柑橘〜青りんごしっかりした苦味、スッキリ
BrewArt公式pine & citrustoffeeのニュアンス、crisp bitterness[1]
約17日熟成後のDiscovery Pale Ale。明るいアンバー色で細かな炭酸が見える
約17日熟成後のDiscovery Pale Ale。ほのかな柑橘〜青りんごのような香りと、しっかりした苦味。後味はスッキリ。
熟成後の一杯を注ぐところ。色と泡立ちの様子も確認できます。

公式の完成像と比べると

BrewArt公式のpine & citrusに対して、今回の実飲ではcitrus方向は少し出てきた一方、私には青りんごのような香りも残って感じられました。苦味はH2前より明確に強くなり、crispな方向には近づいた印象です。pineやtoffeeは、今回の私のテイスティングでははっきりとは拾いませんでした。ここは数値測定ではなく、あくまで個人の官能評価です。なお、ここでいう「青りんご」は香りの印象を表す言葉で、特定のオフフレーバーや原因物質を診断したものではありません。

ペアリング:圧力鍋で作った豚の角煮

合わせたのは圧力鍋で作った豚の角煮。豚はほろほろ、大根は味しみしみ。甘辛くコクのある角煮のあとに、Pale Aleのしっかりした苦味とスッキリした後味が入ると、口の中が切り替わってまた次の一口に進みやすい組み合わせでした。

圧力鍋で作った豚の角煮と味の染みた大根
圧力鍋で作った豚の角煮。豚はほろほろ、大根は味しみしみ。

今回分かったこと

  • Discovery Pale Aleは今回、7日1時間でEOF / Ready to Keg。公式7〜10日の下限側だった。
  • 標準Aleプログラムは最初の12時間がPropagate 21℃、その後Ferment 17℃。12時間時点では21.1℃から17℃へ降温中だった。
  • 1日目以降の代表スナップショットでは、室温25〜27℃前後でも発酵液は主に16〜17℃台。
  • EOF直後・H2前は「りんごのような香り+少し華やかな苦味」だった。
  • 約17日熟成後は「ほのかな柑橘〜青りんごのような香り+しっかりした苦味+スッキリした後味」へ変化した。
  • 公式のpine/citrusのうちcitrus方向は感じやすくなった一方、pineやtoffeeは今回の私の官能評価では明確ではなかった。

まとめ

BeerDroid 4スタイル目のDiscovery Pale Aleは、公式7〜10日の目安に対して7日1時間でEOF。Aleプログラムの17℃発酵は、室温が25℃を超える環境でも概ね16〜17℃台で推移しました。

味の変化もはっきり確認できました。H2前はりんごのような香りが目立ちましたが、H2投入と約17日のケグ熟成後は、ほのかな柑橘〜青りんごのような香り、しっかりした苦味、スッキリした後味へ。公式のpine/citrusのうちcitrus方向には近づきつつ、今回の私のテイスティングでは青りんご系の印象も残りました。豚の角煮のようなコクのある料理にも合わせやすく、最終的には「ごくごくいける」Pale Aleにまとまった、というのが今回の結論です。

参考文献

  1. BrewArt, Discovery Pale Ale(完成時の香味説明、ABV 5.5%、Colour 16、Bitterness 33、Ale program、醸造目安7〜10日、ケグ後最低14日の二次発酵)
  2. BrewArt, Hops(Hops 2のresinous、bold citrus/floral、assertive bitter finishの説明)
  3. BrewArt, Yeast 1(Y1のsubtle esters、American Ale、推奨温度の説明)
  4. BrewArt, BeerDroid Instruction Manual(AleのPropagate 21℃、Ferment 17℃、Keg 18℃、Store 4℃、EOF、ケギング前の味見、二次発酵最低14日)
  5. BrewArt, BrewArt US(BeerDroid 10 L、EOF技術、アプリ、温度管理の説明)

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