BeerDroidでRuby Porterを仕込んでみた
German Weissbierをケグへ移したら、BeerDroidを洗浄して次の仕込みへ。今回はBrewArtのRuby Porterです。仕込みから約34時間後には、発酵の泡が上部のベントから吹きこぼれました。その後の温度管理、Yeast Cleanup、約8日でのEOF、2本のケグへの移送、最低14日熟成後の実飲までを写真と動画で追いました。

今回の記録
| バッチ | Ruby Porter |
|---|---|
| 醸造機 | BrewArt BeerDroid |
| 仕込み量 | 10L |
| 基本プログラム | Propagate 19℃/Ferment 16℃/Keg 18℃/Store 4℃ |
| 大きな変化 | 約34時間後、上部のベントから吹きこぼれ |
| Yeast Cleanup | 約5日1時間で目標温度が16℃から17℃へ |
| 発酵終了 | 約8日でEOF。その後18℃のケギング温度へ |
| ケギング | 各ケグにH9 → ビール移送 → 移送後にプライマー |
| 飲み頃 | ケギング後、最低14日の二次発酵・熟成 |
| 実飲 | コーヒー/カカオを思わせる苦味。チョコレートのような濃厚なコクと甘み |
最初に仕込み順を計画した
BeerDroidは1台ですが、5Lケグは複数あります。そこで、発酵中とケグでの二次発酵中を重ねながら、できるだけ待ち時間を少なくできないか、仕込み前に3つの流れを比べました。
今回選んだのは、同じ種類を続けるのではなく、Weissbierの次にRuby Porterを仕込む流れ。下の図は、その時点で立てた予定です。この記事では、その中のRuby Porterを実際に仕込んだ記録をまとめます。

この記事で使った機材・消耗品
BrewArt BeerDroid
10Lの仕込みに対応し、発酵温度とフェーズを自動管理する醸造機。アプリから現在の状態を確認できます。
Ruby Porter BrewPrint
今回使用したBeerDroid用の材料セット。公式では発酵期間5〜8日、ケギング後は最低14日の二次発酵が目安です。[1]
Ruby Porter BrewPrintを公式サイトで見る →
BrewArt 5L Kegs
10LのRuby Porterを2本に分け、ケグライナーの中で二次発酵させます。
Five Star Star San Sanitizer
5Lケグ、キャップ、スピア、移送チューブなど、ケギング時の接液部品のサニタイズに使用しました。BeerDroid本体はBrewPrint付属のDroid Cleanseで消毒しています。
Ruby Porter BrewPrintの材料
今回使ったRuby Porter BrewPrintには、E1・E2・E3のDME、X3エンハンサー、Y4イースト、H9、ケグ2本分のプライマー、Droid Cleanseが入っていました。公式の仕上がり目安はABV 5.5%、苦味27、色55。トフィーとほのかなチョコレートを感じる英国スタイルのPorterと説明されています。[1]

Weissbierの後を洗浄・消毒
まずは、前のバッチを移し終えたBeerDroidの洗浄から。内部には発酵残渣が残っているので、取り外せる部品も含めてきれいにします。洗浄後は、BrewPrintに付属するDroid Cleanseで消毒。Cleanseを入れて約1時間待ち、タップから少量を流してタップ内部にも行き渡らせ、さらに約1時間待ちました。


10Lまで給水し、イースト→DME→エンハンサー
消毒を終えたBeerDroidに水を10Lまで入れ、材料を投入します。今回の順番は、Y4イースト→E1・E2・E3のDME→X3エンハンサー。German Weissbierと比べると、材料の時点から色が濃く、DMEを入れると中はすぐに見えなくなりました。


PropagateからFermentへ
Ruby Porterのプログラムは、まず19℃のPropagateから始まり、その後16℃のFermentへ移ります。開始直後と約10時間後にアプリを確認すると温度が下がっていましたが、これは確認した時点の記録。冷却に10時間かかったという意味ではありません。
Fermentへ移行した後は、アプリの表示を見る限り、目標16℃に対しておおむね±1℃程度で推移。細かな瞬間値より、Houstonの室内でBeerDroidが発酵温度をこの範囲に保っていたことの方が、今回の記録では重要でした。BeerDroidは設定温度とフェーズを自動管理し、EOFも自動判定する仕組みです。[2]
約34時間後、ベントから吹きこぼれた
仕込みから約1日10時間、約34時間後。BeerDroid上部のベント(圧力を逃がすための開口部)から泡が押し出され、側面まで流れていました。継ぎ目から漏れたのではなく、発酵がかなり活発になり、ベントからあふれた状態です。
このときもアプリ上の温度は目標16℃付近。高温になったから吹いたとは考えにくく、Ruby Porter自体の活発な発酵によるものと見ています。実際、公式ページにも「最初の48時間は、活発な発酵によってベントポートからあふれる可能性がある」と注意書きがあります。[1] 約34時間というタイミングも、その範囲内でした。


いったん周囲を拭き、BeerDroidの下へタオルを敷いて発酵を継続。その後は少しずつ落ち着き、温度も16℃前後で安定していました。

吹きこぼれ後の変化を、動画と温度グラフで追う
吹きこぼれが収まったあとも、発酵はすぐに終わったわけではありません。今回は、窓から見える泡や液体の動きに加えて、BrewArtアプリの8時間温度グラフも並べて追ってみました。
注目したのは、その瞬間の温度よりも、BeerDroidが冷却したあとに温度が再び上がっていく速さです。発酵は発熱を伴うため、仕込み量や機器が同じで、室温も25〜26℃とほぼ変わらない条件なら、再上昇が速いほど発酵による熱も多かった可能性があります。
ただし、アプリのグラフは発酵熱を直接測ったものではありません。室内から入る熱、冷却のON/OFFタイミング、表示の時間・温度分解能も影響します。ここでは熱量を計算するのではなく、動画の見た目と合わせて発酵の勢いを読む定性的な指標として使います。
約2日11時間後:吹きこぼれは収まっても、まだ活発
外へあふれるほどの勢いは収まりましたが、動画では窓の中で細かな泡と液体の動きが続いています。アプリの8時間グラフでも、冷却でいったん下がったあと、温度が比較的はっきりと戻っています。室温は25℃でほぼ同じなので、室温から入る熱に加えて、発酵熱もまだ大きかった可能性があります。

約3日10時間後:発酵は続くが、少し穏やかに
3日目に入っても、窓からは泡の動きを確認できました。一方、吹きこぼれ時や2日目と比べると見た目は少し落ち着いています。温度グラフにも冷却と再上昇のサイクルは残っていますが、上昇の仕方は2日目よりやや穏やかに見えます。発酵は続きながらも、最も激しい段階を越え始めた可能性があります。

約4日19時間後:見た目は静かでも、発酵熱は残る
4日目後半になると、窓から見える動きはさらに小さくなりました。それでも温度グラフは、冷却後に再び上向いています。見た目が静かになっても発酵が完全に止まったわけではなく、酵母の活動と発酵熱がまだ残っていたと考えられます。この約6時間後、BeerDroidはYeast Cleanupへ移行しました。

約5日1時間でYeast Cleanup、16℃から17℃へ
仕込みから約5日1時間後、BrewArtアプリからYeast Cleanupの通知が届き、目標温度が16℃から17℃へ上がりました。通知には、温度を上げて酵母に残りの仕事をさせ、クリーンな仕上がりにする工程だと説明されています。
発酵中、酵母は香味に関わるさまざまな副生成物も作ります。代表例が、バターやバタースコッチのように感じられるジアセチルと、青リンゴや若いビールのように感じられるアセトアルデヒドです。
発酵終盤にも酵母を働かせることで、ジアセチルは酵母に再び取り込まれ、アセトイン、さらに香味への影響が小さい2,3-ブタンジオールへと還元されます。コンディショニングでは、ジアセチルやアセトアルデヒドなどの好ましくない香味成分が減っていきます。温度を少し上げるのは、糖の消費が落ち着いてきた終盤にも酵母の代謝を促すためです。[3]
今回の1℃上昇は小さく見えますが、BeerDroidが発酵終盤を判断して自動で次の温度帯へ切り替えたことが分かります。


約8日でEOF、18℃になったらReady to Keg
仕込み開始から約8日後、発酵終了の通知が届きました。Ruby Porterの公式発酵期間は5〜8日なので、今回は目安の上限でEOFを迎えたことになります。[1]
EOFのあとBeerDroidは18℃のKegフェーズへ移行。ケギング温度へ到達するとReady to Kegの通知が届き、移送できる状態になりました。途中で確認した瞬間の温度ではなく、BeerDroidが18℃への到達を判定して通知した時点を、ケギング準備完了として扱いました。

H9→ビール移送→プライマーの順で2本のケグへ
ケギング前に、2本の5Lケグ、ライナー、キャップ、スピア、移送用チューブを準備し、接液部品はStar Sanでサニタイズします。今回は、まず各ケグへH9を1袋ずつ投入し、その後BeerDroidからビールを移しました。


ビールを移し終えたあと、各ケグへプライマーを1本ずつ投入しました。BrewArtのプライマーは1本30gで、5Lケグ1本につき1本が指定量です。ケグ内の二次発酵で炭酸をつけるための糖分になります。[4]

ケグを閉じてアプリへ登録すると、Ruby Porterの2本がShelfへ追加されました。ただし、ここで完成ではありません。公式の案内どおり、ケグ内で最低14日間の二次発酵・熟成を待ちます。[1]


ケグ詰め後は、内部がかなりベタベタ
ビールを移し終えてBeerDroidを開けると、蓋の裏と内壁には濃い茶色の発酵残渣が広がっていました。乾いた汚れというより、糖分を含んだ泡が付着したようなかなりベタベタした状態。底には少量のビールも残っていました。
外へ吹きこぼれた跡だけでなく、内部に残った泡の跡からも、今回の発酵がどれだけ活発だったかが分かります。放置すると落としにくくなりそうなので、ケギング後にそのまま洗浄しました。

今回記録して分かったこと
- 材料はイースト、DME、エンハンサーの順で投入した。
- Ferment中は目標16℃に対し、おおむね±1℃程度で推移した。
- 約34時間後、継ぎ目ではなく上部のベントから吹きこぼれた。
- 公式にも最初の48時間はベントポートからあふれる可能性があると記載されている。
- 約5日1時間でYeast Cleanupに入り、目標温度が16℃から17℃へ上がった。
- 約8日でEOF。その後18℃へ到達するとReady to Kegの通知が来た。
- 各ケグへH9を入れ、ビール移送後にプライマーを投入した。
- ケギング後の内部は、発酵残渣でかなりベタベタしていた。
- 最低14日熟成後の実飲では、コーヒー/カカオを思わせる苦味と、チョコレートのような濃厚なコク・甘みを感じた。
最低14日熟成後、いよいよ実飲
ケギング後は、公式の案内どおり最低14日の二次発酵・熟成を待ってから実飲しました。グラスに注ぐと、かなり濃いブラウンに明るい色の泡。仕込み中の激しい吹きこぼれから始まったRuby Porterが、ようやく飲める状態まで来ました。

- 苦味:コーヒーやカカオを思わせるビター感。
- コク・甘み:チョコレートのような濃厚なコクと甘み。
- 全体:前のWeissbierとはまったく違う方向。それでも、個人的にはかなり好み。
公式ではRuby Porterを、トフィーとほのかなチョコレートを感じるPorterとして紹介しています。[1] 今回の自分の実飲では、チョコレート系の濃厚さに加えて、コーヒーやカカオを思わせる苦味が特に印象に残りました。ここは製品説明そのものではなく、あくまで今回のバッチを飲んだ自分の感想です。
まとめ
今回はRuby Porterを、前バッチ後の洗浄・消毒から材料投入、発酵、Yeast Cleanup、EOF、ケギング、最低14日熟成後の実飲まで記録しました。
一番驚いたのは、やはり約34時間後の吹きこぼれ。温度は目標16℃付近に保たれていたのに、泡がベントから外へ出るほど活発でした。あとから公式ページを確認すると最初の48時間の吹きこぼれが注意されていて、「これも想定されている動きなのか」と分かりました。
その後は発酵も落ち着き、約5日1時間でYeast Cleanup、約8日でEOF。H9を入れた2本のケグへ移し、プライマーを後入れしました。最低14日の二次発酵・熟成を待って実飲すると、コーヒーやカカオを思わせる苦味に、チョコレートのような濃厚なコクと甘み。前に飲んでいたWeissbierとはまったく違う方向ですが、これはこれでかなり好みの仕上がりでした。
参考文献
- BrewArt, Ruby Porter(製品仕様、発酵プログラム、発酵期間、吹きこぼれ注意、最低14日の二次発酵)
- BrewArt, BrewArt Complete System / BeerDroid(温度制御、アプリ連携、EOF機能)
- Wyeast Laboratories, Yeast Fermentation(二次発酵、ジアセチルの還元、コンディショニング中の香味成分低減)
- BrewArt, Primer(5Lケグ1本あたり30gの使用量)
この記事について質問・コメントがありますか?
実際にやってみて気になったこと、同じことを試した感想など、お気軽にどうぞ。返信をご希望の場合はメールアドレスも入力してください。
Webでは、実験がひと区切りついたところで写真・動画・数字をまとめています。途中のリアルタイムな様子は、Xの @ConyDIYHouston で更新しています。