ヒューガルデン風ビールをBeerDroidで仕込んでみた|RAPT Pillで比重も追跡

爽やかなオレンジ香とスパイス感のあるヒューガルデン風ベルジャンホワイト(Witbier)を自宅で作りたい。今回はBrewArt原料にコリアンダーとビターオレンジピールを足して10 L(約2.6 US gal)を仕込み、BeerDroidで温度を制御。さらにRAPT Pillを浮かべて、発酵中の比重(SG)と温度を別系統で追いました。EOF通知後のケグ詰め時の味見は、爽やかな甘みで美味しい。オレンジの香りは少し弱く、後味にほろ苦さが残る仕上がり。写真・動画・数字を順番に整理します。

ケグ詰め時に味見したオレンジ色のヒューガルデン風自家醸造ビール
炭酸・熟成前に採取したサンプル。爽やかな甘み、控えめなオレンジ香、後味の苦味を感じた。最終的な完成品評価ではありません。

まず結果:自家製Witbier風、ケグ詰め時点では美味しい

仕込み10 L。BrewArt X2×4 / E5×1 / Y5×1(ベース材料)
追加スパイスコリアンダー 2.0 g(軽く砕く)+ビターオレンジピール 3.5 g。コリアンダー計量後に秤をリセットして個別に計量。
設定BeerDroidで酵母増殖 21℃ → 発酵 17℃(70°F → 63°F)
RAPT PillDay 2の最高表示はSG 1.0456、Day 5以降は約1.016で安定。最高表示は確定OGではありません。
終了・移送BrewArtのEOF通知とReady to Kegを確認後、5 Lケグ2本に移送し、充填後は重量でも確認。
プライミング従来のドロップからデキストロースに変更。32 g/5 Lケグ ×2本 = 計64 g(公称5 Lに対し6.4 g/L)
ケグ詰め時の味見爽やかな甘みがあって美味しい。オレンジの香りはやや弱め。後味に苦味が残る。由来は未確定。

※このページの Day 1 はRAPT Pillの最初の有効測定時点から数えた日。実際の暦日ではなく、比較しやすい経過日数の表記です。発酵後のABVやCO₂量は未測定。

出発点:BrewArt TeamのHoegaarden Wheat Clone

出発点は、BrewArt TeamがBrewArtist Communityで公開しているHoegaarden Wheat Cloneです。元レシピはE5×1 / X2×4 / Y5×1 / crushed Coriander Seed 2 g / Dried Curaçao Orange Peel 3.5 gで、Brewing ProgramはAle。スパイスを1 Lの湯で30分浸出してからBeerDroidへ加える方法が案内されています。

今回はE5×1 / X2×4 / Y5×1 / コリアンダー2.0 g / ビターオレンジピール3.5 gで、材料量はBrewArt Teamの元レシピと一致しています。コリアンダーを2.0 g量ったあと秤をリセットし、オレンジピールを3.5 gとして個別に計量しました。狙いは、オレンジの爽やかさにコリアンダーのスパイシーさが重なる軽快な飲み口。発酵中はRAPT Pillも入れ、比重がどう落ちるかまで記録しました。

今回使った原料・機材|リンク

今回実際に使った原料・機材をまとめます。BrewArt原料は公式、追加スパイス・デキストロース・温度計・ナイロンメッシュバッグはMoreBeer、RAPT PillはKegLandの製品ページです。

参照した元レシピ:BrewArt Team — Hoegaarden Wheat Clone →。今回もコリアンダー2.0 g、オレンジピール3.5 gで、スパイス量は元レシピと一致しています。

今回使用したBrewArt原料とコリアンダー、ビターオレンジピール、デキストロースの包装
使用材料の集合写真。写真中のデキストロースは仕込み時ではなく、後のケグ詰めのプライミングに使用します。

仕込み準備:洗浄・消毒とスパイスの計量

BeerDroidの内側やビールに触れる部品を洗浄・消毒し、10 L目盛りを確認。発酵させる容器の衛生状態を整えてから投入を始めます。今回は原料袋の投入だけで終わらず、少量のスパイスを別に準備しました。

洗浄・消毒中のBeerDroid内部
仕込み前のBeerDroid内部。洗浄・消毒の記録。
秤で2.0グラムに計量したホールコリアンダー
コリアンダー 2.0 gを計量。
軽く砕かれたコリアンダーの粒と殻
香りを出しやすくするため軽く砕いた状態。
秤をリセットした後にビターオレンジピールを3.5グラム計量した様子
コリアンダー計量後に秤をリセットし、ビターオレンジピールを3.5 gとして個別に計量。

スパイスを1 Lの湯で30分浸出

BrewArt Teamの元レシピに合わせ、1 Lの水を沸騰させて火を止め、コリアンダー2.0 gとビターオレンジピール3.5 gを入れて、ふたをして30分浸出しました。今回はスパイスを9×12 inのナイロンメッシュバッグにまとめて入れ、抽出後にそのまま引き上げられるようにしています。BrewArt Teamの手順では、このスパイス液をBeerDroid内の9 Lの水へ加え、22℃まで下げてからYeast / Element / Enhancerを投入します。[2]

コリアンダーとビターオレンジピールをナイロンメッシュバッグに入れて1 Lの湯で浸出している様子
コリアンダーとオレンジピールをナイロンメッシュバッグに入れ、火を止めた1 Lの湯で30分浸出。
スパイス抽出液の温度を折りたたみ式デジタル温度計で確認している様子
抽出後は温度計で液温を確認。写真では28.6℃。BeerDroid側で22℃まで下げてからBrewArt原料を投入しました。
BeerDroid内部の10Lと8Lの水量目盛り
最終仕込み容量は10 L。BeerDroidの目盛りで確認。

原料投入:粉末が浮くのは仕込み直後の状態

スパイス液を加えて22℃まで下げたあと、BrewArt原料を投入しました。最初は粉末のかたまりが液面に浮いていました。写真の乾いた部分や泡は、投入直後の見た目の記録です。

E5の投入。
X2の投入。
仕込み直後の粉末状原料が液面に浮くBeerDroid内部
投入直後は乾いた原料が残る。
浮かせたRAPT Pillが見えるBeerDroid内部
RAPT Pillを投入してSG・温度の記録も開始。
BeerDroidの酵母増殖工程を示す初期画面
本体表示25℃は開始時の実測値で、設定温度を示すものではありません。

BeerDroidの設定:21℃で増殖 → 17℃で発酵

設定はPropagate(酵母増殖)21℃(約70°F)からFerment(発酵)17℃(約63°F)へ。BeerDroid本体は温度を維持しますが、アプリに表示される現在温度(Now)と目標温度(Target)は同じ意味ではありません。窓から見える気泡や液中の動きも時系列で追い、RAPT PillのSGトレンドと重ねて、どの時期に発酵が活発に見えたかを比べます。

以下では仕込みからの累積時間に合わせて、アプリの温度表示+発酵窓の動画を同じ時点のペアで並べました。

経過①|増殖工程から発酵工程へ(8〜18時間)

8時間:21℃目標の増殖工程

アプリはPropagate、現在21.6℃・目標21℃・周囲25℃。最初の温度調整後、目標付近で推移しています。

After 8 hours; propagation at 21 degrees app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
増殖工程。液中の動きはまだ控えめで、小さな気泡が散発的に見える。発酵の立ち上がり段階に見えます。

18時間:17℃の発酵工程に移行

アプリはFermentへ。現在16.8℃・目標17℃・周囲26.6℃。増殖工程より低い目標温度へ切り替わったことが記録されています。

After 18 hours; fermentation at 17 degrees app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
Fermentへ移行。細かな気泡が増え、液中の動きもはっきりしてきました。

経過②|SGが大きく動いた時期(1〜3日台)

この頃はRAPT Pillの表示SGがいったん上がったあと、急激に下がり始めました。仕込み直後の写真では粉末原料の溶け残りが液面に見えているため、時間とともに残った原料が溶け、液相の糖濃度が均一になったことでSG表示が上がった可能性があります。加えて、浮遊式センサーなのでPillの姿勢や気泡・固形物の付着も初期表示へ影響し得ます。そのため最高値1.0456をそのまま確定OGには採用していません。

1日7時間:17℃設定で進行

現在18.0℃・目標17℃・周囲25.4℃。目標からの小幅な上下動はありますが、Ferment工程が継続。

1 day 7 hours; fermentation observation app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
細かな気泡が連続して上がり、液中の動きも大きい。発酵がかなり活発になっているように見えます。

2日8時間:比重下降の段階

現在16.5℃・目標17℃・周囲26.6℃。RAPTではDay 3〜4にかけてSGが大きく下降する流れが見えます。

2 days 8 hours; active gravity decline app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
気泡が活発に上がり続け、液中の動きも強い時期。RAPTでSGが大きく下がる区間とも重なります。

3日7時間:17℃管理を継続

現在18.0℃・目標17℃・周囲24.7℃。RAPTの下降はまだ続くものの、低下幅は徐々に小さくなっていきます。

3 days 7 hours; later decline app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
気泡はまだ継続していますが、2日8時間時点より少し穏やかになり始めたように見えます。

経過③|温度は維持、SGは落ち着く(4〜6日台)

BeerDroidの「Ferment」表示は続いていますが、RAPT Pillの比重はDay 5以降おおむね1.016付近で横ばい。温度設定が同じことと、糖が同じ速度で消費されることは別だとわかる区間です。BeerDroidの判定アルゴリズムそのものは公開データだけでは検証できません。

4日7時間:17℃管理が続く

現在17.8℃・目標17℃・周囲25.5℃。RAPTのSGは急な下降から横ばいへ移りつつあります。

4 days 7 hours; stabilizing app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
気泡の上昇は残るものの、液中の動きは落ち着き始め、発酵終盤へ移りつつあるように見えます。

5日8時間:比重はほぼ安定

現在17.7℃・目標17℃・周囲25℃。浮遊式センサーは小さく上下しますが、Day 5以降の長期的な低下傾向は見えなくなりました。

5 days 8 hours; gravity nearly level app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
気泡はかなり少なく、液中の動きも穏やか。RAPTのSGがほぼ横ばいになった終盤の挙動と一致します。

6日17時間:Ferment表示の終盤

現在16.9℃・目標17℃・周囲25.9℃。この時点はまだFerment表示。後にBrewArtからEOFとReady to Kegの通知を受けました。

6 days 17 hours; late fermentation app status
BeerDroid temperature screen / 温度表示
目立つ気泡は少なく、かなり静かな状態。RAPTでは約1.016で安定しており、EOF直前の終盤に見えます。

RAPT PillのSG・温度をDayで重ねてみる

BeerDroidの各時点の表示だけでは、どれくらい糖が発酵したかは分かりません。そこでRAPT PillのログをDay 1〜Day 8へ揃えて比較しました。SGが急低下する区間と、終盤の横ばいを分けて見られるのが今回の収穫です。

RAPT PillのDay 1からDay 8の比重と温度のグラフ、最高SG1.0456および終盤1.016の注釈付き
横軸は最初の有効計測をDay 1とする経過日。欠測区間は線でつないでいません。
Day 1〜2SG表示が上昇し、最高1.0456。仕込み直後に残っていた粉末原料の溶解が進み、液相が均一になった影響が考えられる。確定OGではない。
Day 3〜4SGが大きく低下。気泡も活発に見え、発酵による糖消費が勢いよく進んだ時期と整合する。
Day 5〜8SGは約1.016でおおむね横ばい。気泡も減り、発酵が終盤へ入った様子と一致する。
温度の動きもSGと重ねると面白い

RAPTの温度はBeerDroidの温度制御の影響も受けるため、温度上昇をそのまま発酵熱と断定はできません。ただ、SGが大きく変化している区間では温度が下がった後の戻り・上昇が比較的速く、終盤ではその変化が緩やかに見えます。SGの急低下・活発な気泡から、約1.016での安定・静かな液面へ移る流れと合わせると、発酵の勢いが強い時期から落ち着く時期へ移ったことを示す挙動として整合的です。

測定上の注意:原料を入れた直後はRAPT Pillの姿勢・気泡・固形物付着でSGが揺らぐ可能性があります。極端な異常値1件はグラフから除外。途中約14時間の記録欠落があり、線で補間していません。よって1.0456を厳密なOG、1.016を確定FGとみなしてABVや発酵度を断定することは避けます。RAPT Pillの測定についてはメーカー情報も参照しました。[1]

EOFからケグ詰め:RAPTでは約1日早く終盤が見えた

BrewArtアプリから発酵終了(EOF)とケグ詰め温度到達(Ready to Keg)の通知を確認しました。BeerDroidはSGを直接測る機器ではないため、EOFは温度変化や経過時間など本体側で取得できる情報から判定していると考えられます(詳細な判定ロジックは公開情報では確認できません)。今回、RAPT PillではDay 5〜6にはSGが約1.016でほぼ横ばいになり、その後にBeerDroidのEOF通知が来ました。大きな流れは一致していますが、RAPTのSG安定を見れば、およそ1日ほど早く「ほぼ発酵終盤」と判断できた可能性があります。

洗浄・消毒した部品を使い、ビールをBrewArtの5 Lケグ2本へ移送し、充填後は重量でも確認しました。今回から、以前使っていたカーボネーションドロップをやめ、プライミング用の糖を秤で計量したデキストロース(コーンシュガー)に切り替えました。

BrewArtアプリから届いた発酵終了とケグ詰め可能の通知
発酵完了とケグ詰め可能の通知。
ケグ詰め前に準備したケグ部品の集合写真
キャップやチューブ等、移送前の部品。
デキストロース(コーンシュガー)の袋の表示
今回から使うデキストロース(コーンシュガー)。
デキストロースを32.0グラム計量したデジタルスケール
1本あたり32.0 gを計量。
デキストロースをロートから容器に移している様子
計量した糖を投入。最終炭酸量は後日の実飲で評価。
BeerDroidからのケグ詰め作業。
ケグ詰めした5Lの透明PETケグ2本
32 g × 2本、計64 gをプライミングとして使用。ケグ詰め後は重量でも充填量を確認しました。

ケグ詰め時に味見:オレンジの香りは少し弱いが、美味しい

今回のサンプルはオレンジがかった色。まだケグ内での炭酸づけ・熟成前ですが、口にすると爽やかな甘みがあり、素直に美味しいと感じました。一方で、狙っていたオレンジの香りは少し控えめ。後味にはほろ苦さが残ります。

苦味はオレンジピールなのかコリアンダーなのか、それとも原料由来なのか。今回の1バッチだけでは切り分けられません。次に仕込む自作Witbier v1ではスパイス量は変えず、まずベース原料・ホップ・酵母を変えた設計そのものを比較します。スパイス配合を変える検証は、そのさらに次のステップとして分けて試す予定です。

今回の評価はあくまで「ケグ詰め時点」

デキストロースによる炭酸づけ・熟成後は、香りの立ち方や甘味・苦味のバランス、飲み口が変わる可能性があります。完成後の味については、飲み頃になってから改めて評価する予定です。

今回わかったこと/次は自分で設計したHoegaarden風へ

もっとも面白かったのは、BeerDroidが17℃を中心に温度管理を続ける間に、RAPT PillのSGが急落してから約1.016で落ち着いたこと。さらにSGの大きな変化、RAPT温度の戻り方、窓から見える気泡の勢いを重ねると、発酵が活発な時期から終盤へ移る流れがかなり見えやすくなりました。

味については、「爽やかな甘みは良好、オレンジ香はあと少し、後味の苦味の正体は未確定」。これが今回のケグ詰め時点の結論です。

次は、自分で設計したHoegaarden寄せWitbierを仕込みます。

今回のBrewArt Team Cloneを基準にしたうえで、次はBrewfatherで自分で設計したWitbier v1 →へ。v1ではコリアンダー2 g / オレンジピール3.5 gはそのままに、ベース原料・Saaz・酵母など設計全体を変えて比較します。スパイス配合を変える検証は、そのさらに次のバッチで行う予定です。

参考文献

  1. KegLand, RAPT Pill Hydrometer & Thermometer — 浮遊式SG・温度測定の機能および測定上の留意点。
  2. BrewArt Team, Hoegaarden Wheat Clone — E5×1 / X2×4 / Y5×1、コリアンダー2 g、Dried Curaçao Orange Peel 3.5 g、Ale Program、スパイス浸出方法。
  3. BrewArt, BeerDroid — 10 L対応、温度制御、Ale/Lagerプログラム、EOF通知等のメーカー情報。

このページの投入量、SG記録、ケグ詰め量、味見コメントは、今回の実測・観察記録に基づきます。メーカー仕様とは分けて記載しています。

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