Costcoの鶏肉は本当に安い?
ALDI・H-E-Bと5部位を店頭比較
「大容量のCostcoなら、鶏肉も一番安いはず」と思っていました。そこでHouston周辺でALDI・H-E-B・Costcoの5部位を実際に店頭で撮影して比較。値札だけならALDIが3部位、Costcoが2部位で最安でした。ただし、Air-Chilled、保持水分、ブロス添加、手羽のカット状態まで見ると、単純な$/lbだけでは決めきれません。

通常寄りの店頭価格を比べると、胸肉はALDIがかなり強く、ドラムはCostcoが最安でした。ただしCostcoにはAir-Chilledや真空小分け、Party Wingsなど別の価値があります。H-E-Bも別日の価格では順位がひっくり返ったため、最終的には「店」ではなく「部位 × 仕様 × その時の価格」で選ぶのがよさそうです。
1. まずは値札を比較:5部位×3店舗
9月末〜10月上旬に各店で確認した価格を、1 lbあたりにそろえて並べました。同日・同一店舗条件の一斉調査ではなく、複数回の店頭観察です。H-E-Bについては、明らかに低かった別日の価格を別枠で示しています。ドラムの$0.97/lbには“AD”表記があり、広告特価だった可能性が高い一方、骨付きももの$0.99/lbは写真から特売とは確認できません。
| 部位 | ALDI | H-E-B | Costco | 値札最安 |
|---|---|---|---|---|
| 胸肉 Boneless / Skinless | $1.99/lb | $2.23/lb | $2.99/lb | ALDI |
| 手羽 Wings | $2.49/lb | $2.99/lb | $2.79/lb | ALDI※形状差あり |
| ドラム Drumsticks | $1.09/lb | $1.27/lb | $0.99/lb | Costco |
| もも Bone-in / Skin-on | $1.55/lb | $1.77/lb | $1.49/lb | Costco |
| もも Boneless / Skinless | $2.99/lb | $3.22/lb | $3.29/lb | ALDI |

胸肉はALDI $1.99に対してCostco $2.99。差は$1.00/lb、Costcoが約50%高い計算です。一方ドラムはCostco $0.99が最安でした。


2. ただし「同じ1 lb」とは限らない
ここからが今回の比較で一番大事なところです。鶏肉のラベルを見ると、価格だけでなく冷却方法・保持水分・添加溶液・カット状態が違いました。
Retained Water:冷却工程などで保持された水分
USDA FSISでは、生の単一原材料の肉・鶏肉に、食鳥処理後の工程で自然に含まれる水分を超えて水が保持される場合、その量をラベルに表示するルールを説明しています[1]。今回のALDIの多くは“up to 9% retained water”。Costcoの骨なしももはup to 5%、骨付きももはup to 9%。H-E-Bの今回の骨付きももはup to 7%、ドラムはup to 5%と表示されていました。
表示上限であり、今回こちらで実測した値ではありません。Air-Chilledという表示だけから「保持水分0%」とも断定しません。
Added Solution:ブロスなどを加えた商品は別物
H-E-Bで撮影したCounty Postの胸肉には“Contains up to 15% Chicken Broth, Carrageenan & Sea Salt”とありました。これはretained waterとは別で、USDAは味付け・保湿などのために加えたsolutionを商品名の一部として表示し、ネット重量にも含めると説明しています[2]。つまり「水15%」と単純化してALDIのretained water 9%と同列には扱えません。
3. 胸肉:水分上限を厳しく見積もってもALDIが安い
ALDI胸肉$1.99/lbには「up to 9% retained water」の表示があります。仮に上限いっぱいの9%が保持水分だったと仮定し、その部分を除いて単価を計算すると:
それでもCostco胸肉の表示価格$2.99/lbより低いままです。もちろん、これは表示上限をそのまま使った仮想計算で、実際の保持水分量や調理後の歩留まりを測ったものではありません。それでも「胸肉ではALDIの価格差がかなり大きい」という結論は、今回の範囲では比較的崩れにくそうです。
4. 手羽:$2.49 vs $2.79でも、同じ商品ではない


ALDIは$2.49、Costcoは$2.79で、値札だけならALDIです。ただしCostcoは“Party Wings – 1st & 2nd Sections”。USDA AMSのtrade descriptionでは、1st & 2nd segment wingはドラムレットとフラットで構成され、tip(先端)は除かれると説明されています[3]。
今回のALDI・H-E-Bの写真だけでは、先端の有無や分割状態をCostcoと同条件だと確定できません。そのため、手羽については「可食部あたりの勝敗」を値札だけで断定しないことにしました。
5. Costcoが強かったのはドラムと骨付きもも


ドラムはCostco $0.99、ALDI $1.09、H-E-B $1.27。骨付きももはCostco $1.49、ALDI $1.55、H-E-B $1.77でした。CostcoのドラムはAir-Chilled表記もあり、今回の値札比較では素直に強い商品でした。
ただしCostcoの骨付きももにはup to 9% water retained from chilling processの表示があり、Air-Chilledという言葉だけでCostco全商品を同じ仕様として扱うこともできません。パックごとにラベルを見る必要があります。
6. 骨なしもも:ALDI最安だが、差は小さい


ALDI $2.99、H-E-B $3.22、Costco $3.29。表示価格ではALDIですが、ALDIは最大9% retained water、Costcoは最大5%。仮に双方が表示上限だった場合、単純補正するとALDIは約$3.29/lb、Costcoは約$3.46/lbです。順位自体は変わりませんが、胸肉ほど大きな価格差ではありません。
さらにCostcoは真空のtear-off pouchで小分けしやすいので、冷凍保存や使い勝手まで含めると、単純な$0.30/lb差より評価は近づきます。
7. H-E-Bは「通常価格0勝」でも、別日の価格では逆転する
今回、通常寄りの比較に採用したH-E-B価格では最安部位はありませんでした。しかし別日に、ドラム$0.97/lb、骨付きもも$0.99/lbを確認しています。ドラムにはラベルに“AD”表記があり、広告特価だった可能性が高いです。


この価格なら、ドラムも骨付きもももCostcoを下回ります。つまりH-E-Bは「通常価格比較では勝たなかった」だけで、価格変動まで含めれば十分に最安候補です。
8. Air-Chilledは「値段が高い理由」の一つになり得る
Air-Chilledは、食鳥処理後の鶏を冷水タンクに浸して冷やすのではなく、冷たい空気を使って冷却する方式です。対して一般的なimmersion / water chillingは、水や氷水に接触させながら温度を下げます。今回の比較では、この冷却方法の違いが価格だけでは見えない「商品仕様」の一つでした。

なぜ価格比較で冷却方式まで見るのか
$/lbはパック全体の重量に対する価格です。そのため、冷却工程に由来するretained waterの表示がある商品では、値札だけでなくラベルの水分表示も一緒に見る方が比較しやすくなります。ただし、Air-Chilledだから保持水分が必ず0%になるわけではありません。今回もCostcoの骨付きももにはup to 9% water retained from chilling processの表示がありました。
USDA Agricultural Research Serviceは、immersion chillingとair chillingを比較した研究紹介で、どちらも病原菌の増殖を抑える基準を満たしつつ、研究条件下ではair chillingで胸肉の品質や調理後歩留まりが良かったと報告しています[4]。これは「Air-Chilledなら必ずおいしい」「必ず歩留まりが高い」という意味ではなく、今回購入したパックそのものの歩留まりを示すデータでもありません。
開封時のドリップ量、加熱前後の重量変化、調理後100gあたりのコストは未測定です。Air-Chilledの価値を価格まで含めて判断するなら、次は同じ部位を同日に買って歩留まりまで測るのが一番フェアです。
今回のCostcoでは胸・Party Wings・ドラムにAir-Chilled表示がありました。冷却方式そのものに加えて、真空小分け、手羽の分割済みといった「価格以外の仕様」も含めて商品価値を見るのがフェアだと思います。
9. 今回の結論:店を決め打ちせず、部位で買い分ける
- 胸肉:ALDIの$1.99/lbがかなり強い。保持水分上限を仮定しても価格差は大きい。
- 手羽:値札はALDI。ただしCostcoはtipなしのParty Wingsなので単純比較しにくい。
- ドラム:今回の通常寄り価格ではCostco $0.99/lbが最安。H-E-Bは別日に$0.97/lb(AD表記)で逆転例あり。
- 骨付きもも:通常寄り価格はCostco $1.49/lbが最安。H-E-Bは別日に$0.99/lbの逆転例あり。
- 骨なしもも:ALDI $2.99/lbが最安。ただしCostcoとの差は小さく、小分け包装などをどう評価するかで選び方が変わる。
今回の実測では、部位 × 商品仕様 × 価格変動で勝者が変わりました。大容量店だから安い、ディスカウント店だから安い、と店名だけで決めるより、よく買う部位の$/lbとラベルを一度見てみる方が確実です。
10. 次にやるなら「可食部コスト」を実測したい
今回まだ分からないのは、本当に食べられる肉100gあたりのコストです。次に同じ条件で検証するなら、同じ部位を同日に購入し、開封後にドリップを切った重量 → 同じ温度・時間で加熱 → 加熱後重量を測るのがよさそうです。保持水分や骨、皮、カット状態まで含んだ「調理後100gあたりの購入コスト」なら、今回より一段フェアな比較になります。
参考文献
- USDA Food Safety and Inspection Service, FSIS Guideline for Retained Water(2025).
- USDA Food Safety and Inspection Service, Water in Meat & Poultry.
- USDA Agricultural Marketing Service, U.S. Trade Descriptions for Poultry — Chicken.
- USDA Agricultural Research Service, Best Method to Chill Chickens Depends on Water(2008).
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